2018年12月17日

『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』

今回は便乗企画ではありません!

小峰書店より、新刊『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』が発売されました。
没後200年を迎えた伊能忠敬の偉業を背景に語る、少年の冒険と成長の物語です。

「いくら手を伸ばしても、天の星にはとどかぬ。だが、頭で道理を考え、手足を動かして測量すれば、地を歩いていても星にとどくかもしれぬ。それが学問だ」

伊能忠敬は日本地図をつくった人として有名ですが、それだけではない、奥の深い人です。もとは婿入りした先で商売人として大成功を収め、村の顔役として尊敬されていた人でした。その彼が、隠居してから本格的に天文学を学びはじめ、ふとしたきっかけで蝦夷地に測量の旅に出ます。学問の才能はそれほどでもなかったようですが、豊富な資金と、まじめで粘り強い性格のおかげで、精密な地図ができあがりました。忠敬のつくった地図は高く評価され、やがて幕府の御用として、諸藩の協力を受けながら日本全国を測量して、日本地図作成に挑むことになります。

実は、もともと「金持ちの道楽」で天文学をやっていただけで(当代一の学者の弟子になっていますが)、最初から日本地図作成をめざしていたわけでも、高位の武士や学者だったわけではないのです。しかも、五十歳からのスタートで、大偉業を成し遂げています。それまでに事業で成功してますから、人生を二度生きたようなものです。

「金持ちの道楽」で大成功と言えばシュリーマンですが、現代でも、有り余るお金を手に入れて、宇宙や深海に乗り出す人たちがいます。そこから大発見が生まれるかもしれません。お金持ちにはどんどんお金を使ってほしいものです。

本書は物語の節ごとに解説が挿入されています。「佐原の発展と繁栄」「天動説と地動説」「忠敬と天明大飢饉」「大黒屋光太夫の冒険」など、当時の科学や文化についてのトピックスが、わかりやすくまとめられているのです。おもしろくて、ためになる。画期的な本になったと思います。作者の趣味が丸出しの解説ではありますが……。

売れ筋ではありませんが、携わる人みんなが力を入れてつくってくれた本です。多くの人に手にとっていただけることを願っています。

posted by 小前亮 at 17:11| Comment(0) | 作品紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月12日

『世界史をつくった最強の300人』文庫化

新刊の紹介です。星海社から刊行されていた『世界史をつくった最強の300人』が、縁あって光文社知恵の森文庫で文庫化されました。尽力していただいた関係者のみなさまに厚くお礼申し上げます。

親本の刊行は2011年です。計画停電のさなかに原稿を書いていたことが思い出されます。マサオさんのユーモアあふれるイラストが豊富につけられていて、価格以上に豪華な本でした。「試験には使えない」にもかかわらず、高校生のみなさんの反響が大きくて、嬉しいかぎりでした。

今回、本文イラストはありませんが、カヤヒロヤさんに軽やかでポップなカバーを描いていただきました。ありがとうございます。内容は変わっていませんが、いくつかミスの修正をしています。

あらためて読み直してみると、やっぱり人選にクセがありますね。どんだけビザンツ好きなの?とか、西ヨーロッパ薄いんじゃない?とか、ラジェンドラって名前だけで選んだだろ?とか……。あと、本書は人物事典ですが、その他の部分も気合いを入れて書いてます。巻末には歴史とのつきあい方についてまじめに語ってますし、世紀ごとの解説も、世界史の横のつながりを見るうえで役に立つでしょう。後者は世界史の勉強にも有用だと思います。この本を通じて、歴史好きが増えてくれたら幸いです。

最後に、ちょっと、いやかなりマニアックで、とりわけお気に入りの人物をあげておきます。

  シャープール二世「最年少皇帝」
  桓温「宣言どおりに悪名を残す」
  テオドラ「娼婦から皇后へ」
  プラケーシン二世「飲酒運転の象部隊」
  馮道「乱世の宰相」
  アンナ・コムネナ「ペンを持った皇女」
  シャジャル・アッ・ドゥッル「在位三ヵ月の女性スルタン」
  チャン・フンダオ「陳朝の誇り」
  ガジャ・マダ「名宰相と女王の仲は?」
  クリスティーナ「男装の女王」

どうぞよろしくお願い申し上げます。

posted by 小前亮 at 12:15| Comment(0) | 作品紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月14日

『劉裕 豪剣の皇帝』

 二年ぶりの中国物です。今作の主人公は宋の武帝、劉裕。マイナーですが、主役を張るにふさわしい、個性的な人物です。一番の売りは何と言っても武力! 兵を率いても優秀ですが、そもそも千人くらいの叛徒なら、ひとりで全滅させてしまう怪物です。一国の支配者としては、歴史上でも一、二を争う強さなのではないでしょうか。

 時代は4世紀末から5世紀のはじめ。物語は淝水の戦いからスタートします。前秦の苻堅が東晋に敗れて、南北統一の夢がはかなく消えたところです。つまり、以前に書いた『王道の樹』(『苻堅と王猛』に改題して文庫化)からつながっているのです。この『苻堅と王猛』、劉裕とはほぼ同時代ながらまったく性格の違う君主を描いた作品で、つづけて読むとさらにおもしろいと思います。未読の方はこちらもぜひ! 劉裕もちらっと出てきます。

 ついでに言うと、魏晋南北朝という枠組みで考えると、『姜維伝』とも時代は近くなりますね。「この国において、北伐は宿願であり、北伐を願う心は宿痾です」これは東晋の話ですが、むろん蜀にも当てはまります。ともに北伐なしでは成り立たない国なのですが(憲法の第一条に「中原を取り戻す」って書いてあるようなものです)、それに大まじめに取り組んでいたのが姜維で、成り上がる手段にしていたのが桓温や劉裕です。

 そういえば、先月、田中さんのお供ではじめて中国に行きました。すさまじい勢いで成長をつづける国のエネルギーを感じるとともに、ちらりとでしたが、悠久の歴史にふれることもできました。次はプライベートでゆっくりと行きたいものです。

 今年は書き下ろしがあと二冊ひかえています。何だか分不相応に忙しいですが、せいいっぱい頑張ります。

posted by 小前亮 at 11:58| Comment(0) | 作品紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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